映画「思い出のマーニー」ではボートのおじさん十一(といち)が序盤に登場します。
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潮が満ちて帰れなくなった杏奈を、どこからともなく現れてボートに乗せてくれるのですがひと言も喋らない怖そうなおじさん。
何か曰くありそうなこのボートのおじさん「といち」のことをいったい何者?と思われた人も多いのではないでしょうか。
今回は謎のボートのおじさん「といち」は何者なのか、花売りとの関係やなぜ喋らないのかについてまとめました。
思い出のマーニーのボートのおじさん十一(といち)は何者?
杏奈が療養のために行った田舎で出会ったのがボートに乗ったおじさん、といちです。
満潮になり水に覆われてしまった湿地で困っていた杏奈を助けてくれました。
この後杏奈と大きく関わるのかと思ったのですが、一度屋敷のスケッチをする杏奈を釣りをしながらボートに乗せてあげていただけ…
その後終盤まで登場することがなくますます謎めいた存在のといちです。
が、療養先のおばさんが
「あのといちさんが女の子をボートに乗せるなんてね」
と不思議がっていたことから、といちにとって杏奈は特別な存在だったというニュアンスが伝わってきます。
それは、物語の最後で杏奈とさやかをボートに乗せているときにといちが
「マーニー。青い窓の向こうに閉じ込められた少女。昔の話だ」
と語ったことから、マーニーのことを知っていたとわかることからもうかがえます。
ですが劇中でといちが出てくる場面は序盤と終盤だけで言葉もこれだけ…
これではマーニーとどんな関係だったのかさっぱりわからなかったですよね。
といちとマーニーの関係とは
といちはマーニーとどのような関わりがあったのでしょうか。
「青い窓の向こうに閉じ込められた少女」というといちの言葉から幼少期のマーニーを知っていたことはわかります。
そして両親があまり家にいなくて寂しい思いをしていたマーニーの事情も少なからず知っていたのかもしれません。
劇中で一瞬だったマーニーの日記の場面を見つけた人がいました。
「『思い出のマーニー』のボート漕ぎのおっさんは結局何物だったんだ?」と疑問に感じてる人は、マーニーの日記の6月11日のこちらの記述をごらんください。 pic.twitter.com/QzvYyKjjKt
— 絶望の果てに希望を見つけ太郎 (@tyo_heiki) October 9, 2015
この泣いていた子がといちなのでは?
日記の内容から、といちはマーニーよりも少し歳が小さい子供だったことがうかがわれます。
きっとマーニーはからかわれている男の子に対してお姉さんの様な感情がわいたのでしょう。
この後に何か声をかけたかもしれませんね。
といちが遠い昔の話としながらもマーニーのことを語ったことから何らかの関わりがあったことは確かです。
劇中で花売りとダンスをするシーンがありますが、その花売りはといちなのでは?という声もあります。
最後に勝手な考察です。
十一はマーニーの日記に出てきた花売り少年?
以上「思い出のマーニー」の感想でした。— シロクロ (@HicoukiNore32) May 19, 2015
思い出のマーニーの花売りはといち?
マーニーの日記に花売りとダンスをしたと書かれていました。
その花売りこそがといちではないでしょうか。
その理由は杏奈が自分を花売りに置き換えていた時、和彦と踊るマーニーにひどく気分を悪くしていた場面があったこと。
それはといちの嫉妬ではなかったかと思いました。
といちはマーニーに心を寄せていたのだと思います。
からかわれても言いかえせない少年にマーニーは優しく接したはず。
そしてダンスに誘い楽しい時間を与えました。
そんなマーニーに心の傷を癒されたといちはマーニーに感謝の気持ちが芽生え、やがて恋するようになっていったと考えても不思議ではなさそうです。
でもダンスをしたことがばぁやに見つかり部屋に閉じ込められてしまうマーニー。
きっと、といちは二度とマーニーに会えることがなかったのではないでしょうか。
その後は青い窓の向こうにいるマーニーを見ることしかできなくなった…
そんなことから
「マーニー。青い窓の向こうに閉じ込められた少女。昔の話だ」
と、といちは昔をふりかえって語ったのではと思いました。
からかわれても言いかえせないおとなしい子どもだったといちが心の傷を負っていたことは、といちが喋らない理由にもつながってきそうです。
といちが喋らない理由
劇中で子どもたちから
「だんまりといち!」
「10年に一度しか喋らない」
とからかわれる場面があるほど、といちは喋らないキャラクターです。
なぜあんなにといちは喋らないのでしょう。
マーニーの日記からからかわれても言いかえせないという、といちの性格が描写されていました。
もともと口数が少なくおとなしい子どもだったようですが、その陰には孤独だった家庭環境もあったようです。
そのあたりは原作で記されていますが、母親から愛されず孤独な少年時代を送ったことが、といちが頑なに言葉を発しなくなった原因かもしれません。
杏奈もまた孤独な幼少期を過ごし心に傷を負っています。
人とうまくコミュニケーションがとれないことで葛藤する杏奈。
そんな杏奈もといちの前ではリラックスしています。
そんなことから、といちと杏奈は「同じ」であると考えることもできそうです。
幼少期に負った心の傷から人とうまくコミュニケーションがとれない
といちが喋らないのはそういったといちの人物像を表すためのものではないでしょうか。
最後、杏奈はマーニーと出会ったことによって変わることができたのですが、といちもまたマーニーによって癒されたものがあったと思います。
そう感じたのは、杏奈が札幌に帰る車の中から「さよなら」と手を振った時、といちも
「杏奈、よかったね」
とでも言っているような表情でボートの上から手を振ってくれたからです。
といちが今でも喋らないのはきっとマーニーとの思い出をそっと自分の胸にしまって暮らしているからだと思います。
杏奈をボートに乗せたのは杏奈にマーニーの面影を見たのかもしれませんね。
まとめ
思い出のマーニーのといちについて探ってみましたがいかがでしたでしょうか。
といちの出番はほとんどなく謎に包まれた存在ですが、よく見るとヒントらしきものがありいろいろな想像ができます。
観る回数を重ねていくとまた違った想像ができ、ほんとうのところはどうなんだろうと未知の世界に引き込まれてしまう…
そんな奥の深い物語でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。