映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」で重要なアイテムとなっていた「もしも玉」。
「もしも、あの時…」「もう一度、時間を戻せたら…」とつぶやく主人公の典道が投げる不思議な玉ですがなんだかよくわからなかった人も多かったのでは?
劇中での表現が抽象的で解釈の仕方も分かれるところだと思います。
今回はこの「もしも玉」の正体となずなの父がどのように関係していたのかをお届けしたいと思います。
※この記事ではネタバレが含まれますことと、個人的見解が多くなっていることをご了承ください。
「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」もしも玉の正体とは?
\映画『 #打ち上げ花火 』マメ知識💡/
本編に登場する時間を戻す不思議な玉は岩井俊二さんのアイディア。映画オリジナルのアイテムです。 pic.twitter.com/pI57ILa0pH— 打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか (@uchiage_movie) August 17, 2017
映画の冒頭でなずなが海辺で拾った不思議な玉「もしも玉」。
家出をしようとしたなずなが無理やり母親に連れ戻されそうになった時にスーツケースから転がります。
それを典道が
「もしも…あの時…俺が!」
と投げたことから不思議な世界へと突入するのです。
映画では典道がもしも玉を投げた後、時間が戻っていくような描写がされていました。
実際あの場面ではプールで競走した所に時間は戻っていました。
なのであの「もしも玉」を投げることによって時間が巻き戻るかのように思われましたが、実はそうではなかったのです。
では何だったのか…
もしも玉の正体は
典道が想像した「もしも」の世界に飛ぶアイテム
だったのです。
このあたりは映画を最後まで見ると納得がいくと思います。
後半はずっと典道が想像する「もしも」の世界が描かれています。
最後は花火師のおじさんによって不思議な「もしも玉」は壊れてしまい現実世界に戻ります。
その時の壊れるもしも玉の破片に典道の想像した「もしも」の世界がいくつも写ることから、この「もしも玉」が典道が想像した「もしも」の世界を作り出していたことがわかります。
そこで、このもしも玉ですがなずなの父と何か関係がありそうです。
なずなの父ともしも玉の関係
打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?(2017)
安定のシャフトクオリティ
うーんまあ、で?って感じですかねぇ
ゆうすけ?だっけ?がなんで最初あんなに典道におせおせしてたのか謎だったしなずなの前父となずなの関係もっと掘り下げてた方が良いと思うんだけどなー pic.twitter.com/6XLlIbVnVI— イトメ (@rakugakincyo69) July 15, 2020
なずなの父は茂下町でサーフショップを経営していたと原作小説に描かれています。
1年前、初心者のサーファーが沖へ流されてしまいそれを助けようとしたなずなの父も一緒に流されて溺れて亡くなったのです。
なずなの父が岸に打ち上げられたのは二日後の朝でその場所が映画の冒頭でなずながもしも玉を拾った場所。
劇中でも一瞬なずなの父が岸に打ち上げられた場面が映し出されています。
その父の手の中にもしも玉が握られていました。
これが何を意味するのかはまったく解説されていないので真相はわかりません。
でもこのもしも玉はなずなの父が持っていたものであることは揺るぎない事実。
映画ではなずなが海岸で見つけたような描写がされていましたが、本当はなずなが父の形見としてすでに持っていたのではとも思えました。
そしてあのもしも玉は実はなずながもしもの世界で父と会うための物であったとも考えられます。
それを典道が手にしたことで典道となずなのもしもの世界が広がり、お互いの気持ちを伝えあうことができた…
それは亡き父からなずなへの粋な計らいだったのかもしれません。
なずながもしも玉を拾っている海岸も最後になずなと典道が海に入った海岸も同じ場所でそこは父が最後にたどり着いた場所。
そこをみてもなずなの父が大きく関わっているように思えてきます。
あくまでも個人的見解ですが、もう少しなずなの父ともしも玉の関係を作品の中で言及してほしかったですね。
そんなもしも玉が繰り広げるもしもの世界と現実世界、劇中ではある描写によって世界が切り替わっていました。
現実世界ともしも世界を見分けるには?
打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?
のラスト前の花火師がもしも玉を尺玉と間違い
打ち上げもしもの世界ともしも玉が砕けるあのシーン pic.twitter.com/58stQinsrG
— 春原シンパチ (@furuhasiai) February 12, 2020
何となく見ていると現実世界ともしも世界の境界線がわかりにくかったと思います。
現実世界ともしも世界をどこで見分けるか…
それはもしも世界に突入するとき回転物が逆回りすることでわかります。
- 風力発電の風車
- 校庭のスプリンクラー
- 学校のらせん階段
- 灯台
これらすべてが現実世界では右回転、もしも世界では左回転になっています。
ちょっとわかりにくかったのは学校のらせん階段。
何度も映し出されるので目を凝らしていましたが最初は「階段の回転方向同じだろ?」と思っていました。
でもよくよく見ると、カメラが映し出す撮影方向が右回り、左回りになっています。
ここがすぐ分かった人はすごい!
このように回転物の回る方向が現実世界ともしも世界の境界線を表していました。
最後のもしも世界で風車は回転していないのですが、花火師のおじさんがもしも玉を打ち上げ空で破裂すると右回転で回り始めます。
これは、もしも玉が破裂したことで現実世界に戻ったということを意味しています。
最後のもしも世界では背景がグニャグニャとしていて風車の回転も止まっていることからもしも世界と現実世界の挟間を行ったり来たりしているのではと思いました。
回転物が右回転か左回転かがこの作品の大きなキーポイントだったわけです。
まとめ
「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」もしも玉の正体となずなの父との関係についてお届けしました。
とにかくわかりにくい映画であったことは確かですが、もしも玉の意図には奥深いものがありとても面白い演出だと思いました。
伏線や謎が多い作品なので、人によって見解が分かれると思いますが、この記事も参考にしていただけると幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。