映画「思い出のマーニー」で杏奈が療養のためにやってきた町で見かけた「サイロ」。
物語に登場するサイロは、原作では風車だったそうです。しかし、日本では原作に出てくるような風車で実用のものは存在しないそうで、北海道という舞台にぴったりなサイロに変更したそうですよ😃 #思い出のマーニー #ジブリ pic.twitter.com/fEquGqxR9m
— アンク@金曜ロードSHOW!公式 (@kinro_ntv) July 14, 2017
劇中の後半で杏奈はマーニーとサイロへ行くことになりますが、突然マーニーは杏奈を置いて姿を消してしまいます。
なぜ姿を消したのかと疑問に思った人も多いのではないでしょうか。
今回はサイロで消えたマーニーと杏奈を和彦と呼んだ理由について探っていきたいと思います。
思い出のマーニーにとってサイロはトラウマ
この投稿をInstagramで見る
マーニーは幼少期、両親が留守がちなためばあやと双子のねえやとで暮らしていました。
ばあやとねえやからいじめられていたマーニー。
なかでもねえやたちは怖がらせることが好きで
「悪い子はサイロに閉じ込めてオバケに魂を抜いてもらうぞ!」
といつもマーニーを怖がらせていました。
ある日ほんとうにサイロに連れていかれたマーニー。
ちょうど大きな雷が鳴り、ねえやたちはおびえて中に入ることはなかったのですが、マーニーにとって大きなトラウマになった出来事でした。
「他のことは何でも我慢できる…でもサイロだけはだめなの…」
とサイロを恐れていることを杏奈に語るマーニー。
そのことを克服するために杏奈はマーニーとサイロに行くのでした。
マーニーはサイロからなぜ消えた?
マーニーと杏奈は一緒にサイロへ向かいますが、杏奈のことを「和彦」と呼んだマーニーは先に行ってしまいます。
不思議に思いながら後を追う杏奈ですが、マーニーはサイロの中でうずくまっておびえていました。
この投稿をInstagramで見る
嵐の中おびえるマーニーに大丈夫だと安心させる杏奈ですが突然マーニーは消えてしまいます。
それはなぜだったのでしょう。
マーニーに置いて行かれたと思った杏奈は「どうして?」とマーニーに問いただします。
するとマーニーは
「だってあのときあなたはあそこにいなかったんですもの」
と言ったのです。
あなたはいなかったのだから置き去りにされるはずがない
とマーニーは言いたかったのではないでしょうか。
サイロの話はおばあちゃんであるマーニーが杏奈に聞かせていた話です。
とても怖かったことや和彦が迎えに来てくれたこと。
そこまでは知っていた杏奈でしたが、それ以上のことは聞かされていないので夢の中で再現できずに現実に戻ってしまう…
なので、マーニーも消えてしまうと考えられます。
でもそこにはもっと深い意味があるように思います。
そちらは後述したいと思いますが、まずはマーニーが杏奈を和彦と呼んだ理由をみていきましょう。
和彦と杏奈を呼んだ理由
杏奈とマーニーがサイロに向かっているとマーニーは突然、杏奈を「和彦」と呼びます。
サイロの中でも杏奈を「和彦」と呼んでいます。
なぜ杏奈を和彦と呼んだのかちょっとわからなかったですよね。
後にさやかが破られた日記を見つけますが、そこには和彦のことばかりが書かれていました。
この投稿をInstagramで見る
そのことからサイロでの出来事はマーニーと和彦との間でほんとうにあったことだということがわかりました。
サイロはマーニーにとってばあやとねえやにいじめられたトラウマの場所。
サイロの中でとても怖かったけど和彦が迎えに来てくれたことを杏奈に話していたマーニー。
杏奈にとってもマーニーが和彦とつながる場所としてサイロは大きな意味があったのでしょう。
なので杏奈の夢の中でマーニーが最初に口にする名前が「和彦」だったのではと思います。
マーニーの日記にも「和彦が私をサイロに連れて行こうとするけど絶対に行かない」と和彦がマーニーをからかう様子が書かれていました。
やはりマーニーにとってサイロは和彦との物語でもあるようです。
サイロから消えたマーニーが伝える深い意味を考察
サイロで突然消えたマーニーに動揺と怒りを隠せない杏奈。
「マーニー、あなたまで私を置いていってしまった」
と言う杏奈の脳裏に幼少期のつらい出来事が浮かびます。
- 両親やおばあちゃんが自分を残して死んでしまったこと
- 施設で過ごした寂しい日々
マーニーに置き去りにされたことがショックで杏奈は高熱を出して倒れてしまいます。
さやかに助けられた杏奈は夢の中でマーニーに会いに行くのですが
「私を置いて黙って帰るなんて絶対に許せない!」
と、なぜ置いていったのかをマーニーに問いただした時の言葉が上記の
「だってあのときあなたはあそこにいなかったんですもの」
これを深読みしてみると、
あそこにあなたがいたのなら私はあなたを置き去りになんか絶対にしない
とマーニーが言っていると、とらえてもいいのではないでしょうか。
杏奈はわざとではないとわかっていても、自分を置いて死んでしまった家族に「許さない」という気持ちを抱いていました。
そのせいで頑なに心を閉ざしてしまった杏奈ですが
あなたの家族は誰もあなたを置き去りになんかしない!
とマーニーによって伝えられたように思います。
最後にマーニーが
「杏奈、お願い、許してくれるって言って!」
の言葉に杏奈が
「もちろんよ!許してあげる!」
と答えたことから頑なな心が少し開かれたことがわかります。
あなたを残して死んでしまったことを許してと言ったマーニー。
サイロでマーニーが消えたことによって杏奈は大きな気づきを得たのではないでしょうか。
まとめ
映画「思い出のマーニー」は一度見ただけではなかなか理解しにくいかもしれません。
しかし、何度か見ていくうちにいろいろなストーリー性を感じることができ自然と涙が出る場面もありました。
多くの謎を読み解きながらみていくと奥の深さに引き込まれてしまう作品です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
<関連記事>
>「思い出のマーニー」ボートのおじさんのといちは何者?花売りなのかと喋らない理由についても